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スエードの革靴、上品で素敵ですよね。

ただ、いざ選ぶとなると「手入れは大変そう…」「雨の日は履けないんじゃ?」といった疑問が浮かぶかと思います。

実はスエードは、ポイントさえ押さえれば初心者の方でも気軽に楽しめる、とても実用的な革靴です!

この記事では、そんなスエード靴の魅力と上手な付き合い方を、基本から分かりやすく解説します!

この記事では、こんな疑問にお答えします!

  • スエードの基本と、ヌバックなど他の革との違い
  • ビジネスシーンで履いても失礼にならない?
  • 雨の日や夏でも履けるって本当?
  • プロが実践する、驚くほど簡単な手入れ方法
  • 後悔しない、自分に合った一足の選び方

まずは基本から|スエードとはどんな革?

黒い背景にスポットライトを当てられ、ドラマチックに浮かび上がるブラウンのスエード製デザートブーツ一足。照明によって素材の質感と高級感が強調されている。

まずは「スエードとはどんな革なのか?」という基本から解説します。

どのような革で、よく似たヌバックやベロアと何が違うのか、そして、スエードが秘める魅力まで、分かりやすく紐解いていきましょう!

スエードの基本知識と名前の由来

スエードとは、なめした革の裏面(肉や繊維のある側)を、ヤスリやサンドペーパーで丁寧に毛羽立たせた革のことです。一般的には子牛(カーフ)などの、きめ細かく柔らかな革が使われるため、独特のしっとりとした優しい手触りが生まれます。

その語源はフランス語の「gants de Suède(スウェーデン製の手袋)」に由来するといわれています。かつてフランスで流行したスウェーデン考案の起毛革手袋が、素材そのものの名前として定着したのです。

混同しやすいヌバック・ベロアとの違いを解説

スエードとよく似た起毛革に「ヌバック」と「ベロア」があります。これらの違いを知ることで、より深く革の世界を楽しめます。

ヌバックは、革の表面(ツルツルした銀面)を起毛させたものです。毛足が非常に短く、スエードよりもさらに滑らかな質感が特徴です。

一方、ベロア革はスエードと同じく革の裏面を使いますが、成牛の革など、より繊維が粗い革から作られることが多く、毛足が長めでカジュアルな印象を与えます。

種類 加工する面 原料の革 毛足の長さ 主な特徴と用途
スエード 裏面(床面) 子牛、山羊など やや長い 柔らかく上品。ドレスシューズ向き。
ヌバック 表面(銀面) 牛革など 非常に短い 柔らかでビロードのよう。スエードより傷に強い。
ベロア 裏面(床面) 成牛など 長い 繊維が粗くて丈夫。カジュアルなブーツなどに使われる。

なぜ愛好家はスエードを選ぶのか?3つの魅力

なぜ、多くの革靴愛好家はスエードを選ぶのでしょうか。その背景には、他の素材にはない3つの大きな魅力があります。

1. 柔らかく、足馴染みが良い履き心地

スエードは繊維が細かく革自体が非常に柔らかいため、足当たりがソフトです。

硬い革靴で起こりがちな靴擦れの心配も少なく、履き始めから足に吸い付くようなフィット感を味わえます。外反母趾など、足の形に悩みを持つ方でも痛みを感じにくいのは、大きなメリットです!

2. 温かみのある上品な質感

起毛した革が持つマットで温かみのある表情は、スエードならではの魅力です。

光の当たり方で生まれる柔らかな陰影が、コーディネート全体に奥行きと上品な雰囲気を与えてくれます。また、スムースレザーに比べて細かな傷が目立ちにくいという実用的な利点もあります。

3. 手入れ・メンテナンスが簡単

「スエードはデリケートで扱いにくい」というイメージは、実は大きな誤解です。

スムースレザーのようにクリームを塗って磨き上げる必要がなく、基本のお手入れはブラッシングだけで十分

後ほど詳しく解説しますが、適切にケアすれば雨にも強く、非常に実用的な素材なのです。

【よくある質問】スエード靴はビジネスシーンで履いて良い?

当社でも「スエードってビジネスマナー的にどうなんですか?」というご質問をよくいただきます。おしゃれだからこそ「ビジネスに合わないのでは?」と感じる方もいらっしゃるようです。

ここからはビジネスシーンでの可否から、スーツに合わせる際の注意点、そして避けるべきシーンまで解説します!

結論:ビジネスカジュアルならOK!

結論からいうと、現代のビジネスシーンにおいてスエード靴の着用は「あり」です。

近年、ビジネスウェアのカジュアル化が進み、多くの職場で許容されています。特にジャケパンスタイルとの相性は抜群で、適度な抜け感と洗練された印象を演出できます。欧米では、ダークブラウンのスエード靴はビジネスカジュアルの定番アイテムとして広く浸透しています。

ただし業界や、訪問先の企業のドレスコードによっては、避けた方が無難な場合ももちろんあります。

スーツスタイルに合わせる場合の3つの注意点

スーツスタイルにスエード靴を取り入れる場合は、いくつかのポイントを押さえることで、より洗練された着こなしが可能です。

色合い

ブラックやダークブラウンなど、落ち着いた色を選びましょう。

デザイン

プレーントゥやストレートチップなど、ドレッシーなデザインが基本です。

スーツの生地感(合わせる衣装)

フランネルやツイードといった、少し起毛感のある生地のスーツとは特に相性が良いです。逆に、光沢の強いフォーマルなスーツに合わせると、靴だけが浮いて見えることがあるので注意が必要です。

冠婚葬祭ではNG?フォーマルシーンの靴マナー

特に結婚式などのフォーマルな式典では、スエード靴の着用は控えた方が無難です。

というのも冠婚葬祭の場では、光沢のある黒のスムースレザー(特に内羽根のストレートチップ)がもっとも格式高いとされているため、起毛素材であるスエードはカジュアルな印象を与えてしまうからです。TPOをわきまえ、大切な場面で恥ずかしい思いをしないためにも、ぜひ覚えておくといいですね!

スエード革靴のよくある誤解

茶色いブーツを手に持ち、防水スプレーや保護スプレーを吹き付けて手入れしている様子。スプレー缶から噴射された霧がはっきりと写っている。

「雨に弱い」「夏には履けない」といった、スエードの弱点だと思われがちな点。

実はこれらの多くは誤解であり、正しい知識と対策があれば、一年中快適に履きこなすことができます。詳しく見ていきましょう!

「雨に弱い」は誤解!防水ケアを行えば、他革よりも撥水力◎

「スエードは雨に弱い」というのは、実はもっともよくある誤解の一つです。正しくケアされていれば、スエードはむしろ“雨に強い革靴”になります。

スエードの表面にある細かな毛が、水滴を玉のように弾き、革の内部まで染み込みにくくしてくれます。そのため、スムースレザーのように雨ジミがくっきりと残ってしまうリスクが少ないのです。

革靴の本場であるイギリスでは「雨の日の靴はスエードに限る」といわれることがあるほどです。

もちろん、土砂降りの雨の中を長時間歩けば水が染みてしまいますが、適切な防水ケアを施していれば、日常的な雨で神経質になる必要は全くありません。

防水スプレーのかけ方

スエード靴の防水性を万全にするために、購入後、履き下ろす前に必ずやっておきたいのが「防水スプレー」です。

フッ素系の防水スプレーをかけることで、革の繊維一本一本がコーティングされ、水だけでなく汚れが付着するのも防いでくれます。

  1. 屋外の風通しの良い場所で、靴から20〜30cmほど離す。
  2. 全体が均一に軽く湿る程度に、ムラなくスプレーする。
  3. 風通しの良い日陰で15分ほど乾燥させる。
  4. 上記2〜3の工程を、2〜3回繰り返す。

「秋・冬素材」も誤解⁉︎夏もお洒落に履きこなすコツ!

「スエード=秋冬の素材」というのも、よくある思い込みです。

温かみのある見た目から秋冬のイメージが強いかもしれませんが、欧米では通年素材として愛用されています。夏にスエード靴を履きこなすには、少しコツがあります!

  • 色: ベージュやライトグレー、ネイビーといった明るく爽やかな色を選ぶ。
  • デザイン: ローファーやドライビングシューズなど、軽快なデザインを選ぶ。

こうした色とデザインを選べば、夏のジャケパンスタイルや休日のショートパンツスタイルにも自然に馴染み、大人の余裕を感じさせるお洒落を演出できます!

プロが教えるスエード革靴のメンテナンス方法

木目調の床を背景に、両手を使ってブラウンのスエードシューズを専用ブラシで丁寧に手入れしている様子。

スエード靴の手入れは、実は正しい方法を知ればとても簡単です。

日々の基本ケアから、困った時の汚れの落とし方、やってはいけないNG例まで、プロが実践するポイントを分かりやすく説明します!

日々の基本ケアは「ブラッシングだけ」でOK!

日常のお手入れは本当にシンプルです。履いたその日のうちに、靴用のブラシでブラッシングするだけで十分です。

ブラッシングの手順

  1. 毛並みと逆方向にブラシをかけ、毛の奥に入り込んだホコリや汚れを掻き出す。
  2. 毛並みに沿ってブラシをかけ、全体の毛並みを整える。

この2ステップだけで、スエードの美しい風合いを長く保つことができます。スムースレザーのようにクリームを塗ったり磨いたりする必要はありません。

「部分汚れ」の落とし方

履いているうちに、部分的な汚れがついてしまうこともあります。汚れの種類に応じた対処法を知っておけば、慌てる必要はありません。

  • 軽い汚れ・黒ずみ: スエード専用の消しゴム(ラバークリーナー)で優しく擦ると、きれいに落とせます。
  • 泥汚れ: 泥が完全に乾いてから、ブラシで叩くようにして泥を落とします。
  • 油性の汚れ: 専用のクリーナーが必要になります。シミが広がる可能性もあるため、ご自身で対処するのが不安な場合は、プロに相談するのがおすすめです。

 【注意】やってはいけない「NGメンテナンス」は?

良かれと思ってやった手入れが、逆に靴の寿命を縮めてしまうことがあります。以下のメンテナンスは避けるようにしましょう!

NG①:「保革クリーム」を塗る

スエードの起毛が寝てしまい、元に戻らなくなる可能性があります。

NG②:濡れた布で強くこすってしまう

汚れが広がり、シミの原因になります。

NG③:硬いブラシでゴシゴシ磨いてしまう

革の表面を傷つけてしまいます。

【職人コラム】「濡れの放置」や「急激な乾かし」に注意!

ここまでお話した通り、スエードは「雨に強い」革。ただし、“濡れたままの放置”は原則NGです。

また合わせて覚えておいていただきたいのが、濡れた状態からゴシゴシ擦り拭きしたり、ドライヤーで思いっきり乾かす行為も避けること。

スエードは他の革とは違って“毛”のような見た目であることから、思わずゴシゴシ拭いたり温風で乾かしがちです。ただ忘れてはいけないのは、スエードも「革」であること。他の天然革と同様に、表面が傷つく強さで拭いたり、過度な温風・強風を吹きかけることは避けるようにしてください!

【全3選】スエード革靴の選び方!

グレーの無地の背景に置かれた、黒いスエード製のセミブローグシューズ一足。つま先のキャップ部分にはメダリオン、縫い目にはパーフォレーションという穴飾りが施されている。

最後に、数ある選択肢の中から後悔しない一足を見つけるための、具体的な選び方を解説します。プロが必ずチェックする3つのポイントと、既成靴では満足できない場合の究極の選択肢をご紹介します!

選び方1:利用シーンに合わせた“デザイン”で選ぶ!

「どのようなシーンで履くことが多いか」をイメージしながら、最適なデザインを選びましょう!

ビジネス中心ならスーツやジャケパンに合わせやすい、プレーントゥやストレートチップといった紐靴が基本です。

また、休日などのきれいめなスタイルにも合わせやすい靴なら、チャッカブーツやローファーが非常に人気。汎用性が高く、一足あるとコーディネートの幅が大きく広がります!

選び方2:色は「与えたい印象」で選ぶ!

色が与える印象は非常に大きいです。与えたい印象に合わせて、戦略的に色を選びましょう。

普段使いなら「ダークブラウン」がおすすめです。 どんな色のパンツにも合わせやすく、まず最初に選ぶべき色として間違いありません。

よりドレッシーなら「ブラック」を推奨。全体を引き締め、都会的でシックな印象を与えます!

軽快で洒脱な「ベージュ」「ネイビー」は春夏のコーディネートや、休日のリラックスしたスタイルに最適です!

選び方3:長く愛用するために「製法」にもこだわるとGood!

長く愛用したいなら、靴の「製法」にも注目してみてください。特におすすめなのが「グッドイヤーウェルト製法」です。

この製法は、構造が複雑で製造に手間がかかりますが、非常に頑丈で、靴底(ソール)がすり減っても何度も交換が可能です。履き込むほどに自分の足の形にソールが沈み込み、フィット感が増していくのも大きな魅力です。

関連ページ:『グッドイヤーウェルト製法|革靴オーダーメイドなら元麻布スピカ』

既成靴で満足できないなら「オーダーメイド」も選択肢!

もし、既成の靴ではどうしても足に合わない、あるいはデザインや色に徹底的にこだわりたい、という方には「オーダーメイド」という選択肢があります。

私たちスピカでは、お客様一人ひとりの足を丁寧に採寸し、数多くの選択肢の中から理想の一足を形にするお手伝いをしています。

「スタイル」や「ご予算」で選べるスピカの“3つのオーダー”

①:セミオーダーシューズ

革の工房で、職人が革のエプロンを身に着け、作業台に広げた大きな茶色のスエード革の品質を手で優しく確かめている。背景には様々な道具が並び、ものづくりへのこだわりが感じられる。

「自分だけの1足を用意してみたい」という方におすすめのシューズオーダープラン。

革や色合いなど、【全650通り以上】の組み合わせから、自分だけの一足を製作することが可能。価格も65,450円(税込)からと、高級既成靴とほぼ同じ価格でのオーダーを可能にするプランとなっています。

「セミ」とはいうものの、大切な“靴の基盤”をつくる工程は職人の手作業で実施。10年、20年と履き続けられる“あなただけの相棒”をつくります。

②:プレミアムラストオーダーシューズ

「職人技」と「機械による精密さ」をいいとこ取りしたオーダープランです。

靴づくりの最終工程を熟練の靴職人が仕上げ、フィッティングに影響を与えない工程のみを厳選して機械化。クラフトマンシップの技と現代的な効率性を巧みに融合しています。

価格は151,800円(税込)からで、セミオーダーでは実現できなかった、職人技が光る製法を踏まえてお届けします。

③:ビスポークシューズ

革の工房で、靴職人が革のエプロンを身に着け、靴の木型(ラスト)に黒いペンでブローグ(穴飾り)のデザインを精密に描き込んでいる。手仕事によるオーダーメイドシューズ製作の、繊細で集中力を要する工程を捉えたクローズアップ。

デザインから木型まで“あなたのため”だけに、すべてをイチから作り上げる。まさに「究極の一足」です。

既成靴にはない「完璧なフィット感」と、この世に1足として同じ形のない「あなただけのデザイン」をとことん追求できます。

当社のオーダーメイド製法について、詳しくはこちらのページをご覧ください!

関連ページ:『スピカのオーダーシューズ|オーダーメイド革靴なら元麻布スピカ

まとめ:スエード革靴で明日からのお洒落が変わる!

ここまで、スエード革靴の基本から選び方、手入れまで、プロの視点から詳しく解説してきました。これまであなたが抱いていた「手入れが難しそう」「雨に弱そう」といった不安は、もう解消されたのではないでしょうか。

この記事の大切なポイントを最後にもう一度まとめます。

  • スエードは柔らかく上品な質感で、履き心地が良い
  • ビジネスカジュアルなら着用OK、ただし冠婚葬祭はNG
  • 適切なケアをすれば雨にも強く、通年履ける
  • 日々のお手入れはブラッシングだけで驚くほど簡単
  • 後悔しないためには「デザイン」「色」「製法」の3つが重要

スエード靴は、正しい知識さえあれば、あなたのファッションの幅をぐっと広げられます。

もしこの記事を読んで、「自分だけの一足が欲しくなった」「でも、既成靴では満足できるものが見つからないかもしれない」と感じたなら、ぜひスピカにご相談ください!