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『スニーカーで26cmを履いているから、革靴も同じサイズでいいはず』と思って購入したら、大きすぎてパカパカだった…。

初めての革靴購入では、このような失敗をする方が非常に多くいらっしゃいます。

実は、革靴とスニーカーでは“サイズの測り方”が根本的に違います。

つま先の余裕(捨て寸)の考え方も、サイズ表記の基準も異なるため、同じ数字でも実際のサイズは1.0〜1.5cm程度変わってきます。

この記事では、革靴とスニーカーのサイズの違いと、失敗しないサイズ選びの具体的な方法をお伝えします!

この記事でわかること
  • 「革靴」と「スニーカー」でなぜサイズが違うの?
  • スニーカーから革靴への換算目安は?
  • メーカーやブランドによるサイズ感の違いはある?
  • 試着で確認すべき5つのチェックポイント!

そもそも:革靴とスニーカーで「サイズが違う」のはなぜ?

艶やかに磨き上げられた黒色の革靴(ビジネスシューズ)のつま先部分。木目調の背景に置かれ、美しい光沢を放っている。

まず結論からお伝えすると、革靴とスニーカーでサイズが違う理由は、主に「つま先の余裕(捨て寸)」と「サイズ表記の基準」の2つが違うためです。

とりあえず抑えておきたいのは、革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめを選ぶのが基本ということ。たとえばスニーカーで27.5cmなら、革靴は26.5〜27.0cmが目安になります。

ではなぜ差が生まれるのか、理由を詳しく見ていきましょう。

理由①:そもそも「サイズ表記の基準」が違うから

革靴とスニーカーでは“サイズ表記の基準そのもの”が異なります。

  • 革靴:サイズは「足の実寸(足長)」で表記されます。
  • スニーカー:サイズは「靴の全長」で表記されます。

つまり、同じ「27cm」でも、革靴は「足長27cmの人向け」、スニーカーは「靴のサイズが27cm」という意味になり、実際の大きさは全く異なります。

この違いを理解しないまま購入すると、「同じサイズなのに小さい」といった失敗につながってしまうのです。

理由②:「つま先の余裕(捨て寸)」が違うから

革靴とスニーカーでは、つま先の余裕スペースである「捨て寸」の考え方が異なります。

革靴には通常1.0〜1.5cmの捨て寸が設けられています。これは歩行時に足が前に動いても指が靴の先端に当たらないようにするためで、革の馴染みを考慮しても必要なスペースです。

一方、スニーカーはもともとフィット感を重視するため、捨て寸という考え方は基本的にありません。そのため、足の実寸より0.5〜1.0cm大きいサイズを選ぶのが一般的です。

この捨て寸の有無が、サイズ感の大きな違いを生んでいます。

【職人コラム】なぜ“捨て寸なし”で製作しないの?

男性が茶色の革製オックスフォードシューズを履いている様子。紫色の靴下とネイビースーツを着用しており、靴べらを使用している。隣には別のタッセルローファーや靴箱があり、靴店の試着風景を思わせる。

革靴は動物の皮を使用するため、履き慣らしていくことでゆとりが生まれます。そのため履き始めは少し窮屈に感じるかもしれませんが、徐々にその圧迫は解消されていきます。

しかし問題は『つま先』です。つま先にははじめから“ゆとり”がないと、指先の摩擦によって血マメができたりと「そもそも痛くて履けない…」という状態に陥ってしまいます。

そのため革靴は「全体サイズはある程度小さく、つま先はゆとりを設ける」が基本になっているわけです。

スニーカーからの「換算目安」一覧表

上記の理由から、革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめを選ぶのが基本です。多くの靴メーカーや販売店も同様の目安を推奨しています。

以下にサイズ換算表をまとめましたので、参考にしてください。

スニーカーサイズ 革靴サイズ(目安)
25.0cmの場合… 24.0〜24.5cm
26.0cmの場合… 25.0〜25.5cm
27.0cmの場合… 26.0〜26.5cm
28.0cmの場合… 27.0〜27.5cm

ただし、これはあくまで目安です。足の形やブランドによってフィット感は変わるため、参考程度に留めてください。

メーカー/ブランドによっても、サイズ感は違う?

「A社の26.5cmはぴったりなのに、B社の26.5cmはきつい」という経験はありませんか?メーカーやブランドでサイズ感が違う理由は、主に以下の2つです。

  • 木型(ラスト)が違う
  • 設計思想とターゲット層が違う

1:製作時につかう木型(ラスト)が違うから

革の工房で、靴職人が革のエプロンを身に着け、靴の木型(ラスト)に黒いペンでブローグ(穴飾り)のデザインを精密に描き込んでいる。手仕事によるオーダーメイドシューズ製作の、繊細で集中力を要する工程を捉えたクローズアップ。

木型(ラスト)とは、革靴を成形する際の型のことです。

靴の形を決める土台であり、ブランドやモデルごとに異なります。同じサイズ表記でも木型が違えば、幅・甲の高さ・つま先の形状がすべて変わるため、フィット感が大きく異なります。

例えば、リーガルのように日本人の足に合わせた幅広の木型もあれば、海外ブランドの細身の木型も存在します。

2:設計思想やターゲット層が違うから

革の工房で、職人が革のエプロンを身に着け、作業台に広げた大きな茶色のスエード革の品質を手で優しく確かめている。背景には様々な道具が並び、ものづくりへのこだわりが感じられる。

靴作りの設計思想もブランドごとに異なります。

“どんなユーザーに、どんな履き心地を提供したいか”が、実はかなりサイズ感に影響します。

例えば、英国靴は頑丈でタイトなフィット感を重視し、イタリア靴は柔らかくスタイリッシュな履き心地を目指す傾向がありますし、リーガルのようにビジネスマンの日常使いを想定し、疲れにくいよう少しゆとりを持たせた設計のブランドもあります。

【職人コラム】既製靴を買うなら「日本のメーカー」がおすすめ!

初めて革靴を選ぶなら、日本人の足に合わせて作られた国内ブランドから試すのがおすすめです。海外ブランドを選ぶ際は、試着が必須と考えましょう。

スピカの革靴オーダーは「日本人の足型データ」をもとに製作!

当社スピカの革靴オーダーは、開業以来収集し続けた、膨大な「日本人の足型データ」から、あなたの足形状(サイズ・幅間)にピッタリの木型を選択して製作します。

またあまり知られていないのですが…、実は同じ人であっても「左右の足」でわずかに“サイズ差”があります。『右足は26cm、左足は26.15cm』など。履き慣らすことで徐々になくなってはきますが、オーダーシューズはこういった“僅かな差”まで考慮できるため、履き始めの「痛い・辛い」を最大限に抑えられるのです。

【もっと深く知りたい方向け!】実は「製法」でも履き心地に違いが!

実は革靴には“製法”がさまざまあり、これによっても革の伸び方や履き心地が異なり、最終的な「サイズ選び」に影響します。

グッドイヤーウェルト製法:気持ち“小さめ”を推奨!

アッパー(甲革)とソール(本底)が直接縫い付けられていないため、ソール交換がしやすいのが特徴です。内部にコルクが敷き詰められており、履き込むほどに自分の足の形に沈み込んでフィット感が高まります。

最初は硬く感じられますが、革とコルクが馴染むことを見越して、少しタイトめのサイズを選ぶのが一般的です。

より詳しくは『グッドイヤーウェルト製法とは』の解説もご覧ください。

セメント製法:“ピッタリ感”を重視!

アッパーとソールを接着剤で圧着するシンプルな製法です。軽量で屈曲性に優れ、新品の状態から柔らかく履きやすいのがメリットです。

ソール交換は基本的にできません。革が伸びたりコルクが沈んだりすることがないため、購入時にジャストフィットするサイズを選ぶことが重要です。比較的スニーカーに近い感覚で選べます。

マッケイ製法:気持ち“小さめ”でも伸びやすい!

アッパーとソールを直接縫い付けるため、ソールが薄く返りが良い(曲がりやすい)のが特徴です。軽量で、足馴染みが良く、包み込むようなフィット感が得られます。

グッドイヤーウェルト製法ほどではありませんが、ソール交換も可能です。革が柔らかく伸びやすいため、購入時に少しタイトなサイズ感でも馴染みやすい傾向があります。

より詳しくは『マッケイ製法とは』の解説もご覧ください。

【職人コラム】製法は「木型サイズ」ほど大きな影響なし!

製法による違いはありますが、サイズ感への影響は木型ほど大きくありません。参考程度に留めていただければ幸いです!

試着時にチェックすべき5つのポイント

自分の足に合う一足を見つけるために、試着では以下の5つのポイントを重点的に確認しましょう。

  • つま先の余裕
  • かかとの浮き
  • 甲の圧迫感
  • 土踏まずの位置
  • 実際に歩いたときの違和感

1. つま先の余裕は十分か(1cm近くの余裕)

靴の先端に1.0〜1.5cm程度の余裕(捨て寸)が確保されているかを確認します。指を動かしてみて、窮屈さを感じずに自由に動かせるのが理想です。

歩行時、足は靴の中でわずかに前後に動くため、この余裕がないと指を痛めたり、爪が変形したりする原因になります。つま先が靴の先端に当たっている状態は、サイズが小さい証拠です。

2. かかとは浮いていないか

紐をしっかりと締めた状態で歩いてみて、かかとが過剰に浮かないかを確認しましょう。

新品の革靴でも歩行時に多少のかかとの浮きはありますが、指一本が入るほどの隙間があったり、歩くたびにスポスポと抜けたりする場合はサイズが大きすぎます。靴擦れの原因になるだけでなく、歩行が不安定になり疲れやすくなるため注意が必要です。

3. 甲の圧迫感や浮きはないか

甲周りのフィット感も重要です。甲が強く圧迫されて痛みを感じる、または逆に浮いてしまってシワが寄る状態は、サイズが合っていません。

靴紐を結んだ際に、左右の羽根の間に1cm程度の適度な開きがあるのが理想的です。「少しきつい」と感じる程度なら革が馴染むことで解消されますが、血行を妨げるほどの圧迫感は避けるべきです。

4. 土踏まずの位置は合っているか

靴に内蔵されている土踏まずのアーチサポートと、ご自身の足のアーチラインがしっかりと合っているかを確認してください。

この位置がずれていると、足裏へのサポートが適切に行われず、長時間の歩行で足だけでなく膝や腰にも負担がかかり、疲れやすくなる原因となります。体重をかけた際に、土踏まずが心地よく支えられている感覚が理想です。

5. 実際に歩いて違和感はないか

必ず店内を5分程度は歩き、最終的なフィット感を確認しましょう。

革靴はスニーカーと違い硬さがあるため、少しでも「痛み」があるサイズ感は避けるべきです。

体重移動や足の屈曲を意識しながら歩き、全体的に足が包み込まれているかを確認しましょう!

【職人コラム】「ややキツめ」と「痛い」は別物!

「少しきつめ」は許容範囲ですが、「痛い・強い圧迫感」は避けるべきです。

判断基準としては、歩いたときに『足を曲げきれない』や『圧迫されていて歩けない』といった症状があるかどうか。

歩いたときに、少し“履きジワ”ができそうなくらい革がしなるのが目安です!

“合わない”なんて無い、「オーダーシューズ」という選択肢

「どの既製靴を試しても足に合わない」という場合は、オーダーメイドという選択肢があります。

先ほどもご紹介したように、特に足の幅が広い、左右差があるといった方は、既製靴では快適な一足を見つけるのが難しいこともあります。

スピカでは、お客様一人ひとりの足に合わせた靴作りを行っており、無料の採寸・相談サービスもご提供。セミオーダーから完全なオーダーメイドまで対応可能ですので、サイズにお困りの際はぜひ一度ご相談ください。

まとめ:革靴のサイズ選びで失敗しないために

この記事では、革靴のサイズ選びで失敗したくないという思いに応えるため、靴修理のプロが現場経験から「なぜサイズが違うのか」という理由と「どうすれば間違えずに選べるか」を解説しました。

この記事のポイント

  • 革靴とスニーカーでは「捨て寸」と「サイズ表記の基準」が違う
  • 革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめが目安
  • ブランドの木型や設計思想によってもフィット感は変わる
  • 「足を測る」「換算する」「試着する」のステップで選ぶことが重要

これらの知識とチェックポイントを押さえることで、ご自身の足に合う革靴を見つけ、快適なビジネスライフをお送りください。

それでも不安が残る方、または既製靴では足に合わないと感じる方は、ぜひスピカにご相談ください。プロが一人ひとりの足の特徴を見極め、間違えない革靴選びをサポートします。