投稿日:2025.12.29 最終更新日:2025.12.29
“重い革靴”はもう古い⁉︎おしゃれとマナーを両立する「軽い革靴」の選び方!

営業や外回りで1日中歩いていると、夕方には足がずっしり重く感じる。スニーカーの時より疲れがたまりやすい。そんな経験はありませんか?
革靴はスニーカーより片足で200g程度重いとされていて、両足換算で“500mlの水ペットボトル1本分の重さ”が足にかかっているのです。
だからといって、仕事上、革靴を履かないわけにもいかないーー。
では軽い革靴を購入する際には、どんな部分を見て選べば良いのでしょうか?
この記事では、革靴の基礎知識、とくに『軽さ』を重視するには何を見ればいいのか?を詳しく解説していきます!
- 革靴が重くなる理由と軽量化のトレンド
- 革靴の重さを決めるポイント!
- 軽量化しやすいおすすめの3デザイン!
【最近のトレンド】近年は『軽い革靴』が人気!

近年、軽い革靴を求めるビジネスパーソンが急増しています。その背景には、働き方の変化と健康意識の高まりがあると考えられています。
理由①:足への負担に関する『医学的データ』が出始めたから
まず重い靴を履き続けることによる、健康的被害とされているのは以下の通り。
- 足への負荷と疲労
- 歩行への影響
- 関節への負担
すべてが『重さのせい』というわけではありませんが、靴が重いとその分、足にも負担がかかる。それにより正しい歩行ができていなかったり、それによって足腰が余計な負担を抱えやすかったりします。
そのため近年では軽い靴、特に重くなりがちな『革靴』も、より軽いものが選ばれる傾向が増えてきました。
理由②:各メーカーも“軽量化”に注力しはじめたから
こうした需要の高まりを受けて、各メーカーが「軽量革靴の開発」に力を入れています。既製品では、軽量素材を使った革靴や、スニーカーのような履き心地の革靴が続々と登場しています。
こういった背景から、これまでは『革靴は重い、痛いが常識』という考えから、『より履きやすさ重視に』という考え方が広まりつつあるわけです。
“軽い革靴”って何が違うの?

- できれば『軽い革靴』がいい
- だけれど「合成皮革」や「安モノ」は避けたい…
と思う方もいらっしゃると思います。そこでここからは『本革を使用した革靴の重さって、何で変わるの?』という、靴選びの基本についてご紹介します!
その1…革の面積(デザイン)が最も影響!
革靴のデザインによって、使用する革の面積が大きく異なり、これによって重さが変わります。
たとえば一般的な革靴(プレーントゥスタイル)より、本革をぜいたくに使ったブーツの方が重くなりそうなことは、想像からもわかると思います。
つまり革靴の重さに一番大きく関与する点は『革の面積』です。
ビジネスシーンでの軽量革靴なら『プレーントゥ』がおすすめ!
プレーントゥは、装飾がなくシンプルなデザインで、革の面積が最も少ないため軽量です。一方、ウイングチップは、つま先の装飾(ブローグ)が複雑で、革のパーツが多いため重くなります。
革の面積だけで、片足20~40g程度の差が出ることもあります。
なお、革の種類(カーフ、キッドなど)による重量差は小さく、重要なのは革の「厚み」と「面積」です。アッパー用の革自体はそれほど重くないため、軽量化において最も影響するのはデザインによる革の使用量です。
「まず靴の種類が全然わからない…」という方に向けて、革靴の種類をまとめた記事もご用意しました。こちらもあわせてご覧ください!
【革靴の種類図鑑】全16種を格付け!もう迷わない革靴フォーマル度の基本!
ビジネスシーンや冠婚葬祭で履く革靴。「とりあえず黒い靴を選んでおけば失礼にはならないだろう」とは思いつつも、「本当にこのデザインで合っているのだろうか?」と、ふと不安がよぎる。そんな経験ありませんか? 実は、革靴の世界にはTPOに応じた明確な「格」があり、その序列はデザインの種類によって決まります
その2…「ヒールの高」さも影響!
ヒール(かかと)の高さと素材も、重量に大きく影響します。ヒールが高いほど、使用する素材が増えるため重くなります。
一般的なビジネスシューズのヒール高は2~3cm程度ですが、デザインによって1cmから3.5cm近くまで差があります。
ヒール素材は、木製・革の積み上げ・ラバーなどがあり、素材によって重量が変わりますので、ローヒールのデザインを選べば、軽量化につながります!
その3…「パーツ数/装飾」が多いほど重くなる!

靴のパーツ数が多いほど、重量が増します。 ブローグ(穴飾り)がある装飾的なデザインは、パーツが増えるため重くなります。
またメダリオン(つま先の装飾)など、装飾が複雑なものも重くなります。スリッポンの金具は、金属製の飾りがあると、その分重量が増しますね。
例えば、ビットローファーの金属製ビットは装飾性を高める一方で、重量増加の要因にもなります。
シンプルなデザインほど、パーツが少なく軽量になります!
【職人コラム】ポイントは「ハイカット」と「モンクストラップの有無」
ここまで、革靴の重さを決める要因を解説してきましたが、見ていただけるといいのは、
- ハイカットかどうか?
- モンクストラップがあるか?
これらの2点です。ハイカットはブーツのように靴の丈が長いもののことを指します。
モンクストラップ:甲部分の金具

モンクストラップとは上写真のように、甲部分にある金具を指します。
革靴そのものの重量は増えないのですが、上部に金具がある分、わずかに押し付けられる(重く感じる)ことがあります。
一方で、おしゃれなことに加えて毎回“靴紐を結ばなくて良い”という点が魅力的ですので、迷われたら一度試着してみるのがいいでしょう!
軽い革靴を選ぶなら|おすすめの3デザイン
革靴の重さは種類によって大きく変わります。ここでは、軽量化しやすい革靴を重さの順に紹介します。
1. プレーントゥ

プレーントゥは、つま先に装飾がない最もシンプルなデザインの紐靴です。革のパーツ数が少なく、装飾もないため、革靴の中で最も軽量といえます。
ビジネスシーンでも違和感なく使える正統派デザインで、軽量化を重視する方に最適です。
紐で調整できるため、足にフィットしやすく疲れにくいというメリットもあります。
フォーマルな場面にも対応できますから、軽さとビジネスマナーを両立したい方におすすめです!
2. ペニーローファー(スリッポン)

ペニーローファーは、紐がなく脱ぎ履きが楽なスリッポンタイプの革靴です。紐やハトメ(紐を通す穴)がない分、パーツ数が少なく軽量化できます。
シンプルなペニーローファーなら、プレーントゥに近い軽さを実現できる可能性があります。
ただし、ローファーには様々な種類があり、装飾によって重さが変わります。ビットローファーは、金属製の飾りがあるため、やや重くなります。
タッセルローファーは、タッセル(房飾り)があるため、やや重くなります。
軽量化を重視するなら、装飾が少ないシンプルなペニーローファーがおすすめです!
3. Uチップ・Vチップ型

Uチップ・Vチップは、つま先にU字型・V字型の縫い目が入るデザインの紐靴です。
プレーントゥと比べて、革のパーツ数が増えるため、やや重くなりますが、ビジネスカジュアルなシーンでも使いやすく、実用性の高いデザインです。
軽量化を最優先するならプレーントゥがおすすめですが、デザインのバリエーションを求めるならUチップ・Vチップも選択肢の一つです!
【職人コラム】デザインと重さのバランスが重要
ここまで、軽量化しやすい3つのデザイン(プレーントゥ、ペニーローファー、Uチップ)を紹介しましたが、軽さだけでデザインを選ぶのはおすすめしません。
なぜなら、革靴は用途やシーンに合わせて選ぶことも大切だからです。
例えば、日常的に長距離を歩く方には、プレーントゥやペニーローファーのような軽量なデザインが実用的です。
しかし、フォーマルな場面や特別なシーンでは、ウイングチップのような重厚なデザインが求められることもあります。
ウイングチップは革のパーツ数が多く穴飾りも複雑なため革靴の中で最も重いデザインですが、その重厚感こそが魅力で、存在感を発揮するのです。
まとめ:軽さとフィット感を両立した革靴を!
革靴の重さを決める要因と、デザイン別の軽量化の方法を解説してきました。
この記事のポイント
- 革靴の重さは革の面積、ヒール、パーツ数で決まる!
- ペニーローファーやUチップもおすすめの軽量デザイン!
足の痛みや疲れは、仕事のパフォーマンスにも影響します。
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革靴選びに悩んだときは、お気軽にスピカまでご相談ください。