「大切な革靴を、長くきれいに履き続けたい」 「でも何から揃えればいいか分からない…」多くの方が、そう思われるようです。
いざ靴磨き用品を探してみると、ブラシやクリームの種類がたくさんあって、どれが本当に必要なのか迷ってしまいますよね。下手に道具を買って、大事な靴を傷つけてしまったらどうしよう…と、なかなか始められない方もいるかもしれません。
この記事では、革靴の修理・クリーニングを専門とする私たちスピカが、「これさえあれば大丈夫」と心からおすすめできる、初心者が最初に揃えるべき靴磨き用品を厳選してご紹介します!
この記事を読めば、こんな悩みが解決します!
- 初心者がまず揃えるべき、6つの基本アイテムとは?
- 5,000円で失敗しない、プロ推奨のセットと選び方!
- 靴磨きの基本手順と、やりがちな失敗例
【結論】靴磨きで最初に揃えるべき道具は「6つ」!

忙しい方のために、まずは結論から。 革靴の手入れを始めるにあたって、初心者が最低限揃えるべき基本の道具は、以下の6つです。
| 道具の種類 | 主な役割 |
|---|---|
| 1. 馬毛ブラシ | 表面のホコリや軽い汚れを落とす |
| 2. クリーナー | 古いクリームや頑固な汚れを落とす |
| 3. 乳化性クリーム | 革に栄養と潤いを与え、色とツヤを補給する |
| 4. 豚毛ブラシ | クリームを革に均一に浸透させる |
| 5. クロス | クリームの塗布や、余分なクリームの拭き取り、乾拭きに |
| 6. シューキーパー | 靴の形を整え、湿気を取り除く |
正直なところ、こだわれば道具の種類は無限にありますが、まずはこの6つがあれば、革靴の基本的なケアは完璧に行えます。
それぞれの道具の役割や選び方については、この後じっくり解説していきます。
プロが教える靴磨き用品の役割
靴磨きは、大まかに「汚れ落とし → 栄養補給 → 仕上げ」の流れで行います。ここでは、それぞれの工程で「なぜその道具が必要なのか」という役割に焦点を当てて、詳しく見ていきましょう。
- 馬毛ブラシ:一日のホコリを優しく払う
- クリーナー:古いクリームや頑固な汚れをリセット
- 乳化性クリーム:革に栄養と潤いを与える
- 豚毛ブラシ:クリームを浸透させ、ツヤを出す
- クロス(布):磨き上げの必需品
- シューキーパー:型崩れを防ぎ、靴を長持ちさせる
1. 馬毛ブラシ:一日のホコリを優しく払う
毛先が柔らかくしなやかな馬毛ブラシは、靴磨きの最初の工程で活躍します。
靴の表面やコバ(靴底の側面)、縫い目などに溜まったホコリや土汚れを、革を傷つけることなく優しくかき出すのが主な役割です。できれば、外出から帰った際にサッとブラッシングする習慣をつけるだけでも、靴のきれいさは格段に長持ちします。
2. クリーナー:古いクリームや頑固な汚れをリセット
馬毛ブラシだけでは落ちない頑固な汚れや、革に蓄積した古いクリームを落とすのが、専用クリーナーの役割です。
これを布に少量とって革表面を優しく拭き、いわゆる「すっぴん」の状態に戻します。汚れたままクリームを塗っても効果は半減するため、定期的なリセットが美しい仕上がりにつながります。
3. 乳化性クリーム:革に栄養と潤いを与える
革も人間の肌と同じで、乾燥するとひび割れなどのトラブルが起きます。乳化性クリームは、油分、水分、ロウ分をバランス良く含み、革に潤いと栄養を与え、自然なツヤを出す「保湿美容液」のような役割を担います。初心者はまず、どんな色の靴にも使える「無色(ニュートラル)」を一つ持っておくと間違いありません。
4. 豚毛ブラシ:クリームを浸透させ、ツヤを出す
馬毛ブラシよりも硬くコシのある豚毛ブラシは、クリームを塗った後に使います。
このブラシで磨き上げることで、革の表面に残ったクリームを全体に均一に広げ、革の毛穴の奥まで浸透させます。硬めの毛が革を適度に刺激し、美しいツヤを生み出すための重要な工程です。
5. クロス(布):磨き上げの必需品
クリームを塗ったり、余分なクリームを拭き取ったり、最後に乾拭きでツヤを出したりと、靴磨きのあらゆる工程で活躍するのがクロスです。
専用品もありますが、着古した綿のTシャツなどでも十分代用可能。汚れ落とし用、クリーム用など、何枚か用意して使い分けると便利です。
プロ推奨は柔らかくワックスを馴染ませやすい「ネル生地」です。
6. シューキーパー:型崩れを防ぎ、靴を長持ちさせる
厳密には磨く道具ではありませんが、靴の美しい形を保つためには絶対に欠かせません。
一日履いた靴のシワを伸ばして型崩れを防ぐと同時に、木が内部の湿気を吸収し、カビやひび割れから守ります。特に吸湿性の高い木製のものがおすすめです。靴を履かない時間は、必ず入れて休ませてあげましょう。
靴磨き用品の選び方

「基本の道具は分かったけど、じゃあ具体的にどれを買えばいいの?」
そんな方のために、プロが初心者におすすめする「靴磨き用品の選び方」のコツを3つご紹介します。
- まずは「基本が揃うセット」からはじめる
- 予算は「5,000円前後」を目安に選ぶ
- 「定番ブランド」から選ぶのが間違いなし
1. まずは「基本が揃うセット」から始める
初心者の場合、ブラシやクリームを1つひとつ単品で選ぶのはなかなか大変です。
そこでおすすめなのが、ここまで紹介した基本の道具6点(あるいはそれに近いもの)が揃った「スターターセット」を選ぶこと。
必要なものがバランス良く入っているので、買ってすぐに本格的な靴磨きを始められます!
2. 予算は「5,000円前後」を目安に選ぶ
靴磨きセットは、安いものなら2,000円台から、高級なものなら数万円するものまでさまざまです。
一つの目安として、5,000円前後の価格帯のセットを選んでおけば、品質と内容のバランスが良いものが手に入りやすく失敗がないといえます。
安すぎるセットは、ブラシの毛が抜けやすかったり、クリームの質が良くなかったりする場合もあるので、ある程度の品質が保証された価格帯のものを選ぶのが安心です!
3. 「定番ブランド」から選ぶのが間違いなし
特にこだわりがなければ、多くの靴好きやプロから支持されている「定番ブランド」の製品を選んでおくのが最も確実です。
サフィール(SAPHIR):品質を追求するこだわり派へ
1925年のパリ万博で金賞を受賞した歴史を誇るフランスの高級ブランド。
天然由来原料にこだわった最高峰の品質は、プロも愛用するほど。スターターセットの価格帯は8,000円〜30,000円前後と高価ですが、本物志向で「最高の結果を求めたい」と考えるこだわり派の方におすすめです!
コロンブス(Columbus):品質と価格のバランスで選ぶなら
1919年創業、日本の老舗メーカー。確かな品質と価格のバランスが魅力で、初心者からプロまで幅広く対応します。
スターターセットは3,000円〜10,000円前後と手頃な価格帯から揃っており、「何を買えばいいか分からない」という方が最初に選ぶのに最も安心できるブランドです!
M.モゥブレィ(M.MOWBRAY):ギフトにも最適なデザイン性
イタリア発、伝統製法を受け継ぐシューケアブランド。天然成分を主原料とした品質の高さと、洗練されたデザインが人気です。スターターセットは4,000円〜15,000円前後。
お洒落な木箱入りセットは所有する喜びも満たし、機能性も見た目も重視する方や、ギフトにも最適です。
これらのブランドが出しているスターターセットであれば、品質は確かです。デザインの好みや予算に合わせて選んでみてください。
プレゼントにも最適!相手に喜ばれる靴磨きセットの選び方

たとえば大切な方への贈り物に、靴磨きセットは「モノを大切にする時間」を贈るのも素敵な選択肢です。
ただ、自分用とは少し違う選び方のコツがあります。ここでは、プレゼント選びで失敗しないためのポイントと、相手別にプロがおすすめするセットの考え方をご紹介します!
プレゼント選びで失敗しないための3つのポイント
1. 見た目の高級感・デザイン性で選ぶ
プレゼントは中身だけでなく、見た目も大切です。
例えば、美しい木箱に入ったセットや、デザイン性の高い有名ブランドのものは、開けた瞬間の喜びが大きく、特別な贈り物として強く印象に残ります!
2. 相手の経験度に合わせた内容を選ぶ
もし相手が靴磨きが全くの初心者なら、必要なものが一通り揃ったオールインワンタイプが親切。
一方で、すでに靴磨きが趣味の方へは、普段自分では買わないような少し高級なブラシやクリームを単品で贈るのも喜ばれます。
3. 「無色のクリーム」が入ったセットが無難
相手の靴の色が分からない場合、色付きのクリームは選ぶのが難しいもの。
そんな時は、どんな色の革靴にも使える「無色(ニュートラル)」のクリームが入ったセットを推奨しています。
【Q&A】プロが答える!靴磨き用品に関するよくある質問

最後に、お客様からよく寄せられる靴磨き用品に関する質問にお答えします!
Q1. 100円ショップの道具でも大丈夫?
A. 結論、推奨はできません。
もちろん一時的な汚れ落としには使えますが、品質の面で大切な靴に使うには非推奨です。というのも例えば安いブラシは革を傷つけたり、毛が抜けたりすることも。長く使える信頼できるブランドのものを少しずつ揃えていくのが、結果的に靴のためになります。
Q2. ブラシやクリームは、靴の色ごとに分けるべき?
A. はい、分けるのが理想です。
特に、黒い靴に使った道具を薄い色の靴に使うと、色が混じってシミの原因になることがあります。最初は大変かもしれませんが、黒用、茶色用など、色ごとにブラシやクロスを使い分けることで、常にきれいな仕上がりを保てます。
Q3. 防水スプレーは必要ですか?
A. はい、持っておくと非常に便利です。
雨の日に履く前や、新しい靴をおろす前にスプレーしておくと、水濡れによるシミや汚れの付着を効果的に防げます。靴磨きの仕上げに、靴から20〜30cmほど離して全体が軽く湿る程度に吹きかけるのが効果的です。
まとめ:靴磨きは、週末が楽しみになる「靴との対話」
この記事では、初心者の方が靴磨きを始めるにあたって、本当に必要な道具とその選び方、そして陥りがちな失敗例まで、プロの視点から一通り解説してきました。
たくさんの情報がありましたが、大切なのは完璧を目指すことよりも、まずはお気に入りの一足と向き合い、ご自身の手で磨いてみると愛着が湧きます!
【この記事のポイント】
- 初心者が揃えるべき道具は、基本の6つで十分!
- セット選びは、5,000円前後で定番ブランドから選ぶのが確実!
- プレゼントには、デザイン性や相手の経験度を考えて選ぶと喜ばれる!
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、慣れれば15分ほどで終わる、靴を整えるための大切な習慣になります。手をかければかけるほど、あなたの靴は美しく応えてくれ、きっと今よりもっと愛おしい存在になるはずです!
もし、自分では難しい汚れや傷ができてしまったり、道具選びでどうしても迷ってしまったりしたときは、いつでも私たちプロを頼ってください。
当社スピカでは靴磨きの基本を直接学べる「靴磨き教室」も定期的に開催しており、あなたの「やってみたい」という気持ちを全力でサポートします。
