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毎日同じ革靴を履き続けていると、わずか1年で修理できない状態になることがあります。

しかし、革靴は2足をローテーションするだけで寿命が2倍以上延び、10年以上履き続けることも可能です。

この記事では、年間数千足の革靴を扱う麻布十番の職人が、2足から始める実践的なローテーション方法をお伝えしていきます。

この記事でわかること
  • なんで革靴は連続で履いてはいけないの?
  • 毎日同じ靴を履くと1年で寿命を迎える理由
  • 2足vs3足の判断基準(個人差に応じた選び方)

なぜ革靴のローテーションが必要なのか?

木製の板の上に、複数の茶色の男性用革製ドレスシューズが並べられています。シューツリーが入れられた高級紳士靴は、ビジネスやフォーマルなスタイルに最適で、グレーの背景が特徴です。

毎日同じ革靴を履いているけれど、本当に大丈夫なのか?そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。

結論から言うと、連続で革靴を履くことは避けるべきです。このセクションでは、その理由を端的にお伝えします。

連続で履くと湿気が抜けず革が劣化する

結論から言えば、連続で革靴を履くのはNGで、最低でも1日履いたら1日休ませることが必要です。

なぜNGなのか、主な理由は以下の3つです。

  1. 湿気が抜けきらない
  2. 革が回復する時間がない
  3. 雑菌が繁殖しやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由1:湿気が抜けきらないから

革靴内部の湿気が完全に乾くには、24時間以上かかります。毎日同じ靴を履き続けると、前日に溜まった湿気が抜け切れません。

湿気がこもったまま使い続けると、革が傷みやすくなり靴そのものが劣化してしまうのです。

理由2:革が回復する時間がないから

革は天然素材です。履いた後に休ませることで、元の形に戻ろうとする性質があります。

休む間もなく負荷を受け続けると、革が劣化しやすくなってしまうのです。

理由3:汗で「雑菌繁殖」がしやすい

実は足は1日にコップ1杯(約200cc)の汗をかきます。湿った環境は雑菌が好むため、臭いや水虫のリスクが高まります。

修理依頼で持ち込まれる靴の多くが、毎日履き続けたことによる劣化です。特にかかとの内側が破れる、中敷きが剥がれるというパターンが典型的です。

これらの症状を引き起こさないためにも、革靴は履き続けるのではなく、その日履いたら最低でも24時間は休む必要があるのです。

【職人コラム】毎日履くと1年でダメになることも…

毎日同じ靴を履き続けた場合、どれだけ高級な靴であっても1年足らずで修理不可能な状態になるケースもあります。

具体的には「かかとの内側が破れる」や「中敷きが剥がれる」、「革が硬くなりひび割れる」「靴底が極端に減る」といった劣化が起こります。

一方で、適切にローテーションしてケアすれば、革靴は10年以上履くことができます。せっかく購入した革靴をダメにしてしまわないためにも『革靴は1日履いたら1日休む』を覚えておきましょう。

革靴のローテーションは何足から始めるべき?


木製の床に立つ男性の足元を上から見た写真で、茶色の革製ドレスシューズとダークなパンツが写っています。

ローテーションの重要性は理解できたけれど「結局、何足持っているのがいいの?」と思っている方も多いでしょう。

結論から言えば、まずは2足から始めて、習慣化してから3足目を検討するのが理想的です。

まず「2足から始める」が現実的!

まずは2足から始めましょう。これが最も続けやすい方法です。交互に履くだけで湿気が抜け、革が回復します。

私たち靴職人も「高い革靴を何足も持つ必要はなく、必ず2日連続で同じ革靴を履かないことを徹底してもらいたい」と話すことが多くあります。

完璧を目指すより、まずは始めることが大切。2足から始めて、習慣化してから3足目を検討しても遅くありません。

お客様の中には「3足ないと効果がない」と思い込んでいる方もいますが、2足でも十分効果があります。

3足あればさらに長持ちする!

2足で習慣化できたら、3足目を追加するとさらに効果的です。なぜ3足が理想なのか、主な理由は以下の通りです。

  • 湿気を完全に抜くには2日かかることもある(特に梅雨時期)
  • 雨の日用に1足を予備として持っておける
  • 1足あたりの使用頻度が週1〜2回になり、さらに長持ちする

3足あれば「1日履いた靴は2日休ませる」サイクルが可能で、常に完全に乾いた状態の靴を履けます。

汗の量や季節で「最適な足数」も異なる!

また「ご自身の汗の量」「季節」「使用頻度」によっても最適な足数は変わります。

状況 おすすめ足数
汗が多い・梅雨夏場 3足以上
通常(週5日使用) 2足
使用頻度が低い 2足

まずは2足で1〜2ヶ月続けて、習慣化してから3足目を追加するのが理想です。いきなり3足買うと、初期費用への負担が大きく続けられないこともあります。

3足目を追加するタイミングとしては、ボーナスや昇進など、余裕ができたタイミングで検討しましょう。既存の靴が傷んできたら、買い替えではなく3足目として追加するのもおすすめですよ。

職人からのアドバイスとして、まずは2足から始めて、自分の足の汗の量や靴の乾き具合を観察してみてください。

「1日では乾ききらない」と感じたら、3足目を検討するタイミングです。

大切なのは、自分に合った足数を見つけること。無理に3足揃える必要はありません。まずは2足から、自分のペースで始めましょう。

履き休めだけじゃない!「保管方法」も大切!

黒い背景の上に、2足の黒い革製ドレスシューズ(キャップトゥ)と、その隣に並べられた2組の木製シューツリー。高級紳士靴のケアや保管を示す画像です。

何足持っているかも大切ですが、日々の保管方法も同じくらい重要です。特に、シューツリー(シューキーパー)は10年以上履くための必須アイテムです。

シューツリーで型崩れを防ぎ湿気を吸収

ローテーションで最も大切なのが、このシューツリー(シューキーパー)です。

シューツリーの主な役割は以下の通り。

  • 靴の型崩れ防止と履きジワの伸展
  • 除湿効果(特に木製)
  • 靴底の反り返り防止

使い方は簡単で、帰宅後、風通しの良い場所で一晩乾かしてから、翌朝シューツリーを入れます。濡れたまま入れるとカビの原因になるので注意してください。

また理想は「木製のシューツリー」です。プラスチック製でも十分効果がありますが、木材は水分を多く吸収してくれますので、可能であれば木製のシューツリーを選びましょう。

「帰宅後30秒のブラッシング」が革を守る!

帰宅後すぐにブラッシング(ホコリ・汚れを落とし)することを心がけましょう!1日30秒でOKです。

手順は簡単で以下の通りです。

  • 靴紐を外す(靴紐の下も汚れがたまりやすい)
  • 馬毛ブラシで全体をブラッシング(つま先→甲→かかと)
  • ソール(靴底)の汚れも落とす

馬毛ブラシは柔らかくて革を傷めないため万能です。汚れが乾いて固まる前に落とすのがポイントです。

「風通しの良い場所」で湿気を逃がす!

湿気がこもる場所に保管すると、カビが生えたり革が傷む原因になります。風通しの良い場所で保管しましょう。

理想的な保管場所

  • 玄関の下駄箱(扉を少し開けて通気性を確保)
  • シューズラック(オープンタイプが理想)
  • クローゼット(除湿剤を置く)

逆に「NG」な保管場所

  • 密閉された下駄箱(湿気がこもる)
  • 直射日光が当たる場所(革が変色・硬化する)
  • 暖房の近く(急激な乾燥で革が傷む)

保管のポイントは、靴同士の間隔を空けること、除湿剤を置くこと(梅雨時期は特に重要)、また定期的に換気することです。

週に一度は下駄箱を開け放って換気する習慣をつけましょう!

革靴ローテーションでよくある質問

店内で、男性店員が顧客と靴について相談している様子。店員は笑顔で筆記用具を持ち、顧客は店員の方を向いている。奥には靴がディスプレイされたテーブルが見える。

Q1:本当に革靴の寿命は延びますか…?

A:結論、ローテーションによる“革靴の持ち”効果はあります。

毎日履いた靴と、適切にローテーションした靴では、劣化の速度が明らかに違います。毎日履いた靴がわずか1年で修理不可能になる一方で、2足ローテーションを実践したお客様の靴は3年以上経っても現役で使用可能です。

Q2:2足目はどう選べばいいのか?

A:基本的な選び方は「1足目と色味だけ少し違うもの」にするのが理想です。

1足目が黒なら2足目は茶色にすることです。デザインも少し変えると、使い分けしやすくなります。

迷ったら、ストレートチップやプレーントゥといった定番デザインがおすすめです。ビジネスシーンで幅広く使えます。

初心者にはフィッティングができる専門店がおすすめ。スピカでも、お客様の足に合わせたセミオーダーシューズを提供していますので、お気軽にご相談ください。

また、革靴の選び方について詳しく知りたい方は関連記事もご覧ください!

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Q3:私でも「ローテーション」は続くでしょうか…?

「習慣化できるか不安」という気持ちはよく分かりますが、実際に始めてみると、意外と簡単に続けられます。

また完璧を目指す必要はなく、忙しい時に忘れていても、また次の日から始めればOKです。まずは1日ずつ「続けてみること」が大切です!

2足ローテーションで革靴を長く大切に履き続けよう

この記事では、革靴を長持ちさせる2足ローテーションの方法について解説してきました。

毎日同じ靴を履くと湿気が抜けず1年で寿命を迎えることもある一方、2足を交互に履くだけで寿命は2倍以上延び、10年以上履き続けることも可能です。

まずは2足から始めるのが現実的で、習慣化してから3足目を検討すれば十分です。シューツリーと帰宅後のブラッシング、風通しの良い保管を心がけましょう。

記事のポイント

  • 1日履いたら1日休ませる「1履1休」が基本
  • 2足ローテーションで寿命が2倍以上に延びる
  • シューツリーと帰宅後のブラッシングが必須
  • 色やデザインを変えると続けやすい

年間数千足の革靴を扱う麻布十番の職人として、お客様の「もっと早く知っておけばよかった」という後悔も見てきました。

スピカでは、革靴の修理・メンテナンスからセミオーダーシューズまで、職人の確かな技術で、あなたの大切な一足を長持ちさせるお手伝いをしています。靴選びやケア方法で迷ったら、ぜひ元麻布スピカへご相談ください。