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【初めての革靴】サイズが違う理由と選び方|スニーカー換算・ブランド別比較

「普段スニーカーで27.5cmを履いているから、革靴も同じサイズでいいはず」と思って購入したら、小さすぎて履けなかった。

このような失敗をされた方は少なくありません。

実は、革靴とスニーカーではサイズの測り方が根本的に違います。

つま先の余裕(捨て寸)の考え方も、サイズ表記の基準も異なるため、同じ数字でも実際のサイズは1.0〜1.5cm程度変わってきます。

この記事では、創業30年以上・年間1万足以上の靴修理実績を持つスピカの視点から、革靴とスニーカーのサイズの違いと、失敗しないサイズ選びの具体的な方法をお伝えします。

この記事でわかること
  • 革靴とスニーカーでサイズ表記が違う理由
  • スニーカーから革靴への換算目安
  • メーカーやブランドによるサイズ感の違い
  • 自分に合う革靴を選ぶための3ステップ
  • 試着で確認すべき5つのチェックポイント

 

その経験から得た知見をもとに、革靴のサイズ選びで失敗しないための判断基準を解説します。

革靴とスニーカーのサイズが違うのはなぜ?

革靴とスニーカーでサイズが違う理由は、主に「つま先の余裕(捨て寸)」と「サイズ表記の基準」の2つが違うためです。

この2点を理解すれば、サイズ選びで失敗するリスクを大幅に減らせます。結論から言うと、革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめを選ぶのが基本です。たとえばスニーカーで27.5cmなら、革靴は26.5〜27.0cmが目安になります。

では、なぜ差が生まれるのか、理由を詳しく見ていきましょう。

つま先の余裕(捨て寸)が違う

革靴とスニーカーでは、つま先の余裕スペースである「捨て寸」の考え方が異なります。

革靴には通常1.0〜1.5cmの捨て寸が設けられています。これは歩行時に足が前に動いても指が靴の先端に当たらないようにするためで、革の馴染みを考慮しても必要なスペースです。

一方、スニーカーはもともとフィット感を重視するため、捨て寸という考え方は基本的にありません。そのため、足の実寸より0.5〜1.0cm大きいサイズを選ぶのが一般的です。

この捨て寸の有無が、サイズ感の大きな違いを生んでいます。

スピカからの補足 スピカの修理現場では、捨て寸が不足したことでつま先が傷んだ革靴をよく目にします。サイズ表記の違いを知らずに「同じサイズ」で選ぶと、ほぼ確実に失敗しますのでご注意ください。

サイズ表記の基準が違う

革靴とスニーカーでは、サイズ表記の基準そのものが異なります。

  • 革靴:サイズは「足の実寸(足長)」で表記されます。
  • スニーカー:サイズは「靴の内寸(足長+余裕分)」で表記されます。

つまり、同じ「27cm」でも、革靴は「足長27cmの人向け」、スニーカーは「靴の内寸が27cm」という意味になり、実際の大きさは全く異なります。この違いを理解しないまま購入すると、「同じサイズなのに小さい」といった失敗につながります。

スピカからの補足 「スニーカーと同じサイズで革靴を買って失敗した」というご相談は後を絶ちません。表記基準の違いを理解することが、正しいサイズ選びの第一歩です。

スニーカーからの換算は1.0-1.5cm小さめが目安

上記の理由から、革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめを選ぶのが基本です。多くの靴メーカーや販売店も同様の目安を推奨しています。

以下にサイズ換算表をまとめましたので、参考にしてください。

サイズ換算表(目安)

スニーカーサイズ 革靴サイズ(目安)
25.0cm 24.0〜24.5cm
26.0cm 25.0〜25.5cm
27.0cm 26.0〜26.5cm
28.0cm 27.0〜27.5cm

ただし、これはあくまで目安です。足の形やブランドによってフィット感は変わるため、参考程度に留めてください。

スピカからの補足 スピカに持ち込まれるサイズ相談で最も多いのが、「スニーカーと同じサイズで買って失敗した」というケースです。この換算目安を知るだけで失敗の多くは避けられますが、スニーカー感覚で大きめを選ぶと靴擦れの原因に、小さすぎると痛みや靴の傷みを招きます。

メーカーやブランドでサイズ感が違う理由は?

「A社の26.5cmはぴったりなのに、B社の26.5cmはきつい」という経験はありませんか?メーカーやブランドでサイズ感が違う理由は、主に以下の2つです。

  • 木型(ラスト)が違う
  • 設計思想とターゲット層が違う

これらを知っておくと、初めてのブランドでも失敗しにくくなります。

木型(ラスト)が違う

木型(ラスト)とは、革靴を成形する際の型のことです。靴の形を決める土台であり、ブランドやモデルごとに異なります。

同じサイズ表記でも木型が違えば、幅・甲の高さ・つま先の形状がすべて変わるため、フィット感が大きく異なります。

例えば、リーガルのように日本人の足に合わせた幅広の木型もあれば、海外ブランドの細身の木型も存在します。自分の足と木型の相性が、サイズ以上に重要です。

スピカからの補足 「サイズは合っているはずなのに痛い」というご相談の多くは、木型と足の相性が原因です。木型が合わない靴は、調整しても快適に履くことは難しいです。

設計思想やターゲット層が違う

靴作りの設計思想もブランドごとに異なります。どんなユーザーに、どんな履き心地を提供したいかが、サイズ感に影響します。

例えば、英国靴は頑丈でタイトなフィット感を重視し、イタリア靴は柔らかくスタイリッシュな履き心地を目指す傾向があります。

また、リーガルのようにビジネスマンの日常使いを想定し、疲れにくいよう少しゆとりを持たせた設計のブランドもあります。

スピカからの補足 初めて革靴を選ぶなら、日本人の足に合わせて作られた国内ブランドから試すのがおすすめです。海外ブランドを選ぶ際は、試着が必須と考えましょう。

主要ブランド別・製法別のサイズ感

ここでは、主要な国別ブランドと製法によるサイズ感の傾向をご紹介します。あくまで一般的な傾向ですので、必ず試着して確認してください。

国内ブランドのサイズ感

日本のブランドは、日本人の足型(幅広・甲高)に合わせた設計が特徴です。靴の横幅を表す「ウィズ(足囲)」の選択肢が豊富で、EEE(3E)や4Eといった表記をよく見かけます。

これはEの数が多いほど幅が広い設計であることを示しており、自分の足にフィットする一足を見つけやすいのが魅力です。サイズ感としては、スニーカーサイズから0.5〜1.0cm引いたものが目安です。

ブランド サイズ感・特徴
リーガル 日本人の足に合わせた2E〜3Eが基本。大きめの作り。
ケンフォード リーガル社製。幅広で手頃な価格帯。
スコッチグレイン 国産でEEEも展開。日本人向けの幅広設計。
アシックス Runwalk スニーカー技術を活かした履き心地重視。4Eまで展開。

スピカからの補足 初めての革靴なら国内ブランドが安心です。特にリーガルは全国に店舗があり試着しやすいため、基準のサイズ感を知るのにも適しています。

英国靴のサイズ感

英国靴は、細め・甲低めでクラシックな木型が多く、革が硬めで履き込むほどに馴染むのが特徴です。

靴の横幅を示すウィズは「E」を標準とすることが多いですが、これは日本人の足型にとっては比較的細身に感じられることがあります。また、サイズはUK表記(例:UK7.5 ≒ 26.0cm)なので注意が必要です。

ブランド サイズ感・特徴
Crockett & Jones Eウィズが基本で細身のモデルが多い。
Church’s(チャーチ) モデルごとに木型が異なり、細めのモデルが多い。
Edward Green(エドワードグリーン) 最高級の素材を使用。クラシックで細身のモデルが多い。
Tricker’s(トリッカーズ) カントリーシューズは比較的ゆったりめ。

スピカからの補足 英国靴は革が硬いため、最初はきつく感じることが多いです。革が伸びることを前提にサイズを選ぶ必要がありますが、ブランドやモデルによる差が大きいため試着は必須です。

イタリア靴のサイズ感

イタリア靴は、柔らかい革で、スタイリッシュな木型が特徴です。EU表記(例:EU41 ≒ 26.0cm)が一般的です。

ブランド サイズ感・特徴
Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ フェラガモ) 洗練されたデザインで有名。モデルによるが比較的標準的なフィット感。
Gucci(グッチ) 一般的に細身のデザインが多い。
Tod’s(トッズ) ドライビングシューズが象徴的。快適な履き心地で、サイズ感は標準的。
Santoni(サントーニ) 柔らかく、足馴染みが良いのが特徴。

スピカからの補足 イタリア靴は革が柔らかく足馴染みが良いですが、その分伸びやすい傾向があります。購入時にきつすぎないか、適度なフィット感かを確認することが大切です。

製法別のサイズ感の違い

製法によっても革の伸び方や履き心地が異なり、サイズ選びに影響します。

グッドイヤーウェルト製法

アッパー(甲革)とソール(本底)が直接縫い付けられていないため、ソール交換がしやすいのが特徴です。内部にコルクが敷き詰められており、履き込むほどに自分の足の形に沈み込んでフィット感が高まります。

最初は硬く感じられますが、革とコルクが馴染むことを見越して、少しタイトめのサイズを選ぶのが一般的です。

より詳しくは「グッドイヤーウェルト製法とは」の解説もご覧ください。

セメント製法

アッパーとソールを接着剤で圧着するシンプルな製法です。軽量で屈曲性に優れ、新品の状態から柔らかく履きやすいのがメリットです。

ソール交換は基本的にできません。革が伸びたりコルクが沈んだりすることがないため、購入時にジャストフィットするサイズを選ぶことが重要です。スニーカーに近い感覚で選べます。

マッケイ製法

アッパーとソールを直接縫い付けるため、ソールが薄く返りが良い(曲がりやすい)のが特徴です。軽量で、足馴染みが良く、包み込むようなフィット感が得られます。

グッドイヤーウェルト製法ほどではありませんが、ソール交換も可能です。革が柔らかく伸びやすいため、購入時に少しタイトなサイズ感でも馴染みやすい傾向があります。

より詳しくは「マッケイ製法とは」の解説もご覧ください。

スピカからの補足 製法による違いはありますが、サイズ感への影響は木型ほど大きくありません。参考程度に留めておきましょう。

自分に合う革靴のサイズを選ぶには?

違いを理解したところで、実際にサイズを選ぶ3ステップを見ていきましょう。

ステップ1:自分の足の正確なサイズを知る

正しいサイズ選びの第一歩は、自分の足の正確なサイズ(特に足長と足囲)を知ることです。

測り方

  • タイミング:1日の活動で足がむくみ、サイズが最も大きくなる夕方に測りましょう。
  • 足長:かかとから最も長い指先までを測り、左右差がある場合は大きい方の足に合わせましょう。
  • 足囲(ウィズ):親指と小指の付け根の最も出っ張っている部分を、メジャーで一周させて測りましょう。

最近は、店舗の計測サービスやスマートフォンの3D計測アプリなども活用できます。

スピカからの補足 プロは足長・足囲だけでなく、甲の高さや足の形なども総合的に見て判断します。自分で測るのが不安な方は、専門家に相談することをおすすめします。

ステップ2:スニーカーとの換算は目安と心得る

次に、普段履いているスニーカーのサイズから、革靴のおおよそのサイズを把握します。

前述の通り、革靴はスニーカーより約1.0〜1.5cm小さいサイズが目安です。スニーカーサイズが27.0cmなら、革靴は26.0cm前後が適切と推測できます。

スピカからの補足 この換算はあくまで目安です。換算だけで判断せず、必ず次のステップも確認しましょう。

ステップ3:ブランドの傾向を参考に絞り込む

最後に、検討しているブランドのサイズ感の傾向を参考にします。公式サイトやレビューで「大きめ」「細め」といった情報を確認しましょう。

可能であれば実店舗で試着するのが最も確実です。専門のスタッフに相談すれば、ブランドごとのサイズ感も教えてくれます。

試着時にチェックすべき5つのポイント

自分の足に合う一足を見つけるために、試着では以下の5つのポイントを重点的に確認しましょう。

  • つま先の余裕は十分か
  • かかとは浮いていないか
  • 甲の圧迫感や浮きはないか
  • 土踏まずの位置は合っているか
  • 実際に歩いて違和感はないか

試着はサイズ選びで最も重要な工程です。上記の5つのポイントを確認すれば、失敗を大きく減らせます。

1. つま先の余裕は十分か

靴の先端に1.0〜1.5cm程度の余裕(捨て寸)が確保されているかを確認します。指を動かしてみて、窮屈さを感じずに自由に動かせるのが理想です。

歩行時、足は靴の中でわずかに前後に動くため、この余裕がないと指を痛めたり、爪が変形したりする原因になります。つま先が靴の先端に当たっている状態は、サイズが小さい証拠です。

2. かかとは浮いていないか

紐をしっかりと締めた状態で歩いてみて、かかとが過剰に浮かないかを確認しましょう。

新品の革靴でも歩行時に多少のかかとの浮きはありますが、指一本が入るほどの隙間があったり、歩くたびにスポスポと抜けたりする場合はサイズが大きすぎます。靴擦れの原因になるだけでなく、歩行が不安定になり疲れやすくなるため注意が必要です。

3. 甲の圧迫感や浮きはないか

甲周りのフィット感も重要です。甲が強く圧迫されて痛みを感じる、または逆に浮いてしまってシワが寄る状態は、サイズや木型が合っていません。

靴紐を結んだ際に、左右の羽根の間に1cm程度の適度な開きがあるのが理想的です。「少しきつい」と感じる程度なら革が馴染むことで解消されますが、血行を妨げるほどの圧迫感は避けるべきです。

4. 土踏まずの位置は合っているか

靴に内蔵されている土踏まずのアーチサポートと、ご自身の足のアーチラインがしっかりと合っているかを確認してください。

この位置がずれていると、足裏へのサポートが適切に行われず、長時間の歩行で足だけでなく膝や腰にも負担がかかり、疲れやすくなる原因となります。体重をかけた際に、土踏まずが心地よく支えられている感覚が理想です。

5. 実際に歩いて違和感はないか

必ず店内を5分程度は歩き、最終的なフィット感を確認しましょう。立っているだけでは分からなかった圧迫感や、特定の指が当たるなどの問題点が見つかることがあります。

革靴はスニーカーと違い硬さがあるため、少しでも痛みや強い違和感がある場合は避けた方が賢明です。体重移動や足の屈曲を意識しながら歩き、全体的に足が包み込まれているかを確認します。

スピカからの補足 「少しきつめ」は許容範囲ですが、「痛い」「強い圧迫感」は避けるべきです。逆に「少し緩い」場合も、革が伸びてさらに緩くなる可能性があるので注意が必要です。判断が難しい場合は、ぜひスピカの無料採寸サービスをご利用ください。

既製靴で合わない場合は?

「どの既製靴を試しても足に合わない」という場合は、オーダーメイドやセミオーダーという選択肢があります。

特に足の幅が広い、左右差があるといった方は、既製靴では快適な一足を見つけるのが難しいこともあります。

スピカでは、お客様一人ひとりの足に合わせた靴作りを行っており、無料の採寸・相談サービスも提供しています。パターンオーダーから完全なオーダーメイドまで対応可能ですので、サイズにお困りの際はぜひ一度ご相談ください。

まとめ:革靴のサイズ選びで失敗しないために

この記事では、革靴のサイズ選びで失敗したくないという思いに応えるため、靴修理のプロが現場経験から「なぜサイズが違うのか」という理由と「どうすれば間違えずに選べるか」を解説しました。

この記事のポイント

  • 革靴とスニーカーでは「捨て寸」と「サイズ表記の基準」が違う
  • 革靴はスニーカーより1.0〜1.5cm小さめが目安
  • ブランドの木型や設計思想によってもフィット感は変わる
  • 「足を測る」「換算する」「試着する」のステップで選ぶことが重要

これらの知識とチェックポイントを押さえることで、ご自身の足に合う革靴を見つけ、快適なビジネスライフをお送りください。

それでも不安が残る方、または既製靴では足に合わないと感じる方は、ぜひスピカの無料採寸サービスやオンライン相談をご利用ください。プロが一人ひとりの足の特徴を見極め、間違えないサイズ選びをサポートします。