革靴ブランド事典Leather Shoes Brand
タニノ・クリスチー/TANINO CRISCI(イタリア)
タニノ・クリスチーの始まりは「乗馬用ブーツ」
タニノ・クリスチー(TANINO CRISCI)は1876年にイタリアのミラノでタニノ・クリスチー氏によって設立されたシューズブランドです。設立時に乗馬用のブーツを生産していた名残から、ブランドのシンボルマークには「乗馬の絵」が描かれています。クリスチー家が4代にわたってブランドの看板を守ってきた靴は、イタリアのブランドらしい優雅なデザインと履き心地の良さが特徴です。
1980年代後半にコレクションを拡大し、財布やバッグ、ベルトなどの小物類も販売するようになりましたが経営難に見まわれ、2011年にブランド展開を終了しています。
タニノ・クリスチーは異色のイタリアブランド
タニノ・クリスチーは創業から100年以上の間、世界的なシューズブランドとして名を馳せてきました。多くのイタリアブランドは、まずアメリカメーカーの下請けから展開を始めますが、タニノ・クリスチーは本国イタリアの貴族を顧客に展開を始めた異色のブランドです。
さらに、タニノ・クリスチーが創業したのは、まだヨーロッパに近代製靴技術が普及していない時期でした。イギリスやアメリカのシューズブランドが幅を利かせていたなか、「クラシコイタリア」が到来する前の時代から活躍してきた数少ないイタリアブランドと言えます。
マッケイ製法なのに履きやすいタニノ・クリスチー
マッケイ製法は一般的に、デザイン性を重視した靴作りに用いられる製法です。その分、他の製法に比べて履き心地が劣ると言われています。
しかしタニノ・クリスチーは、足に馴染みやすい上質なカーフ(仔牛のなめし革)を使用し、靴の構造をパーツ単位で細かく設計するなど高いレベルで履き心地の良さを追求していました。
さらに社長が自ら完成品をチェックし、そこでパスしなければ出荷できないという徹底した品質管理も行っていました。
タニノ・クリスチーの歴史
1876年、イタリアのミラノでタニノ・クリスチーの前身となる乗馬用ブーツのメーカーを創業。創業者はタニノ・クリスチー氏。
1919年、渡米していたタニノ氏の息子、アルフォンソ・クリスチー氏が帰国。カステッジョに生産工場を設立。
1960年、ミラノのモンテナポレオーネ通りに、初の直営店をオープン。
2011年、経営難によりブランド展開を終了。