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BESPOKE – insole

2009.08.08|靴の話

 ご存知の方もおられるかもしれないが、私の前職は 「ビスポーク・シューメイカー」 、日本風に言うなら 「注文靴・誂え靴職人」 ということになろうか。 ※自分では自分のことを「職人」だとは思っていないが、わかりやすくこの言葉を使うことにする。
 実は数年前まで、修理を主としながらも顧客の方からの注文は受けていた。 だがしかし、納得のいく材料の調達が難しくなってきたこともありしばらく前からお休みさせて戴いている。
 とはいえ、やはり手を休めると腕は格段に落ちるもので、このままではマズイとも思う。 そういえば、自分の靴を数年作っていないことに気がついた。 そこで、とりあえず1足作ってみようと思い立つ。

 まず自分用に木型を削る。

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 今回はエッジを効かせたトゥにする。

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 判る方には方には判るかもしれないが、私のオリジナルラストは全体的にかなりねじれているため型紙や釣り込みはかなり難しい(らしい)。

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 しかも底面や土踏まずは複雑なアーチが入り組んでいるので、中底を沿わすのも難しい(らしい)。

 次に中底の作製に入る。 が、この中底が問題だ。 昨今いちばん納得がいかなくなったのは、実はこの中底なのだ。
 例えば本底やウェルトなどは、修理で交換ができる。 だが中底はそうもいかず、かつ履き心地やソールの形状などを全て決めてしまう靴の要なのだ。 日本で手に入る材料を片っ端から集め試し、時には高価な材料を一頭分購入し中心の良い部分のみ使うという馬鹿をしたり、本底の材料で中底を作製するという力技まで試した。 結局、全てに納得できず靴作りそのものをお休みするという結論に至った。
 だがしかし、私の尊敬する先達の方々とお話させて戴いた際に、イタリア製の同じ名前の中底素材が話に出た。 もちろん即座にその素材を見せて戴き、その品質に唸った。 もちろん自分のやり方に合うかどうかは使ってみないと分からず、また、自分が試していないものをお客様の靴に使用するわけにもいかない。 そこで今回、件の中底素材を入手し試してみることにした。

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 結果、私が現在までに手にしてきたものを遥かに超える、極上のものとなった。 聞くところによるとこの素材、通常中底に用いられるショルダーや腹革ではなく、本底用のベンズ部分を中底専用になめしたものという。 ちなみに価格はこれまでに使用してきた中底の2倍以上する。 が、代わりがないので仕方がない。
 この極上素材が手に入ったことにより、今まで頭の中にはあったが素材の問題で実行出来なかった仕立ての中底を作ることが可能になった。

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 詳しい説明は省くが、製靴経験のある方にはこの中底がどのような意図による設計か御理解戴けるかもしれない。
 とにかくこれで中底の問題がクリアできたので、時間を見つけて作業を進めたいと思う。 進行の過程は今後もアップする予定だ。 
※あくまでプライベートワークであり、現在は新規でのオーダーの受付はしておりません。 この件に関するSpicaへのお問い合わせはご遠慮戴けますようお願い致します。

 たなか

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