革靴ブランド事典Leather Shoes Brand
クロケット&ジョーンズ/CROCKETT&JONES(イギリス)
クロケット&ジョーンズが所有しているラストの数は世界一
アパレルブランドや格上とされる同業者に向け、多くのOEM生産を手掛けてきた紳士靴メーカーがクロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones)です。そのため靴作りにおけるノウハウは抜群と言われています。
イギリスのノーザンプトンは英国シューズメーカーの大部分が誕生した場所ですが、クロケット&ジョーンズはその中で最も成功したブランドのひとつでしょう。
ドレッシーなものからカジュアルなモデルまで、クロケット&ジョーンズのバリエーションは非常に豊富です。
世界に誇れるクロケット&ジョーンズの特徴
クロケット&ジョーンズは大きな工場を所有していて、世界で最も多くのラスト(木型)を持つブランドとして有名です。これがクロケット&ジョーンズの最大の特徴になります。ラストの数が多ければ、それだけ足にフィットした靴作りが可能です。
デザインのバリエーションや素材を選ぶ際の選択肢の幅は、かなり広いと言えるでしょう。
当然のことながら、ラストの数が多ければ多いほど、それぞれに見合った技術や知識も必要になります。
そこで活きるのが、OEM生産を経て培ったノウハウです。OEM生産とは、他ブランドから委託された製品を生産し、委託したブランド名義の商品として販売することです。クロケット&ジョーンズが継続的に多くの委託を受けていたということは、常にクロケット&ジョーンズの靴が世界中に展開されていたということです。
下請けとして技術を磨き、時代ごとに変化するファッションのツボを正確に押さえてきたことが、今のクロケット&ジョーンズの強みになっているのでしょう。
現在、クロケット&ジョーンズは製靴工程に多くの機械を導入しています。ところが実際にクロケット&ジョーンズのファクトリーを覗いてみると、手作業が中心です。機械を導入した理由は、人間の手に負えない細かな作業を正確に行うという狙いがあったからです。
クロケット&ジョーンズで採用されている製法はグッドイヤーウェルト製法や、防水性を持たせたベルトショーン製法です。
機械を導入しているとはいえ、こういったところから伝統技術がきちんと継承されていることが伺えます。
クロケット&ジョーンズの変化
実はクロケット&ジョーンズが自社ブランドに力を入れ始めたのは、ジョーンズ家4代目のジョナサン・ジョーンズが指揮を執るようになってからです。
ファミリービジネスを展開することで代々受け継がれてきたクロケット&ジョーンズの伝統的な技術は変わりませんが、ジョナサンは「流行に左右されやすい」として、長年続けていたレディース靴の生産を取りやめてしまいました。つまりクロケット&ジョーンズの職人達をメンズ靴の生産に特化させたのです。
また、昔から「品質」の管理面で評判の高かったクロケット&ジョーンズですが、ジョナサンはそれをさらに徹底しました。例えば作業部屋を工程ごとに分け、レザーを裁断する部屋の窓は、品質保持の観点から直射日光を避けるように北向きに設置しました。
伝統は守りながらも、変化を恐れずよりよい靴を作る。そんな姿勢が、クロケット&ジョーンズを世界的ブランドに引き上げた、ひとつの要因なのかもしれません。
クロケット&ジョーンズの変化
1879年、イギリスのノーザンプトンでシューズメーカー「クロケット&ジョーンズ」が設立される。創業者はジェームズ・クロケットと、その義理の兄弟であるチャールズ・ジョーンズ。ブランド名は兄弟の名前を合わせて付けられた。
当時、製造過程で駆使されていたクロケット&ジョーンズの技術は非常に高く評価され、ヨーク公(ジョージ6世)が訪問するほどだった。
1990年、クロケット&ジョーンズは英国での輸出貢献を認められ、クイーンアワードを受賞。
画像引用元:http://www.crockettandjones.com/