靴用語集Shoes Glossary
ペッグ(ペース)
ペッグ(peg)とは、靴作りに使用する木製の釘です。日本では「ペース」と呼ばれています。
現在、靴作りに使用される釘は木製ではなく金属製の釘やタックスが一般的であるため、ペッグという言葉はタックスなども含めた「製靴で用いられる釘」全体を指すことが多いです。
日本では「ペース」と呼ばれており、古くは日本特産の希少性の高い椹(さわら)の木から作られていました。半世紀以上前の複式縫いによる靴作りで使用されていたと言われています。
ペッグはアッパーの釣り込みやヒールの積み上げなどに用いられます。ヒールは通常、数枚の革を積み上げることで形成されますが、このとき一枚一枚の革を固定し、1つのヒールにするために打ち込まれるのがペッグです。木でできたペッグはそのまま打ち込んでしまうと折れる恐れがあるため、まずは「ぶっ込み」と呼ばれる錐で下穴を空け、それから打ち込みます。ペッグには金属釘のような傘の部分がありませんが、ヒールを接着する際は接着剤を併用し、後々水分を吸収してペッグ自体が膨張するため外れにくくなっています。
アッパーを釣り込む際のペッグの用途はタックスと同じで、形成したアッパーの仮留めとして使用されます。ペッグの太さや長さは数種類ありますが、これは革の厚さによって使い分けられます。